2023/10/06

【103万?106万?】「年収◯◯万の壁」どう違うのか解説します

年収◯◯万円の壁とは

「社会保険」や「税金」に関して取り扱いが変化する年収の基準がいくつかあります。俗に「◯◯万の壁」と言われますが、この壁について解説します。
まずは「◯◯万の壁」にはどのような壁があるでしょうか?

「◯◯万の壁」には税金の壁と社会保険の壁があります。

税金の壁は主に4つあります。
・100万の壁(本人の住民税に影響)
・103万の壁(本人の所得税に影響)
・150万の壁(配偶者の税金に影響)
・201万の壁(配偶者の税金に影響)

社会保険の壁は主に2つあります。
・106万の壁(パート先の社会保険加入の壁)
・130万の壁(社会保険扶養の壁)

それでは、それぞれの壁について解説いたします。

税金の壁

100万の壁(本人の住民税に影響)

自分の住民税が発生しない年収のラインです。

103万の壁(本人の所得税に影響)

自分の所得税が発生しない年収のラインです。

150万の壁(配偶者の税金に影響)

自分(被扶養者)の給与年収が103万円を超えると、主たる収入を得ている方の配偶者(扶養者)は、配偶者控除(38万円)が適用されなくなります。
ただし、103万円を超えて150万円までは配偶者特別控除(38万円)が満額で適用されます。
※配偶者特別控除を満額(38万円)受けるには、配偶者(扶養者)の合計所得金額が900万円以下である必要があります。

201万の壁(配偶者の税金に影響)

150万の壁を超えても、自分の年収が201万円以下であれば、配偶者(扶養者)は、配偶者特別控除が適用されますが、段階的に減っていき201万円を超えるとゼロになります。
※配偶者特別控除で受けられる控除額は、配偶者の年収によって異なり、適用されない場合もあるので注意が必要です。

社会保険の壁

106万の壁(パート先の社会保険加入の壁)

106万円の壁とは、勤務先各社での社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件の年収目安です。
この条件を満たすと勤務先で社会保険に加入しなければならず、法改正で順次対象事業者が拡大しています。

具体的な社会保険加入対象者

下記の5つの条件をすべて満たすと加入対象者となります。

1. 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満(※週所定労働時間が40時間の企業の場合)
※契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。
※契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2ヶ月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合には、3ヶ月目から保険加入とします。

2. 所定内賃金が月額8.8万円以上(※年約106万円以上)である
基本給及び諸手当が含まれます。ただし残業代・賞与・臨時的な賃金等は含みません。
(含まれない例)
・1月を超える期間ごとに支払われる賃金 (賞与等)
・時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
・最低賃金に算入しないことが定められた賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)

3. 2ヶ月を超える雇用の見込みがある

4. 学生ではない
※休学中や夜間学生は加入対象

5. 従業員101名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いていること
厚生年金の被保険者数が100人以下の企業でも、「労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することに合意すること)に基づき申し出している」又「地方公共団体に属する事業所」であれば、101人以上の要件を満たすことになります。

※5の要件は2024年10月、さらに適用事業者の範囲が拡大する予定です!!
アルバイトやパートの社会保険加入の適用範囲はこれまで段階的に拡大されており、2024年10月には従業員数(厚生年金の被保険者数)が101人以上から51人以上へ変更となります。
すなわち、より従業員数の少ない企業も対象となります。

対策など詳細は別記事にて掲載しています。
【適用範囲拡大】106万の壁対策【従業員も企業も対策必須】

130万の壁(社会保険の扶養の壁)

年間収入が130万円を越えると社会保険の被扶養者からはずれます。(この130万円は、将来の見込み年収で判断されます。)

社会保険上の扶養の適用範囲

下記の2つの条件をすべて満たすと扶養対象者となります。

1.年間収入が130万円未満
※60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満

2.被保険者の年間収入の2分の1未満(※)である場合
※同居の場合:被保険者(扶養者)の収入の半分未満,
※別居の場合:被保険者(扶養者)からの仕送り額未満

なお、給与所得者の場合は「月額108,333円以下」で、雇用保険等の受給者の場合は「日額3,611円以下」という条件も満たす必要があります。
また、給与所得者の場合、通勤手当や交通費も収入に含まれますので、注意が必要です。

おわりに

少子化、働き方改革の影響でこれからますます人材が確保しづらい中、年収が一定額を超えると手取りが減るパートタイム労働者やアルバイトが就労調整をするという、いわゆる「年収の壁」問題は他人事ではなく、事業の運営にも大きな影響があることです。
リアライ社会保険労務士法人では、「年収の壁」対策やそのための助成金活用などのご相談を承ります。
お気軽にお問い合わせ下さい。

100社以上に選ばれ続ける信頼と実績

人事・労務管理の問題解決だけではなく、採用支援・経営支援など 多角的に経営者をサポートできる。 それがリアライ社会保険労務士事務所の最大の特徴です。

OFFICE

社会保険労務士は、経営者さまと活気ある職場を創り出すパートナーです。懇切丁寧に人に関するサポートをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。